学長挨拶・式辞

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  • 平成31年度入学式式辞(2019年(平成31年)4月5日)

    •  山梨大学の学部・大学院及び特別専攻科に入学された1,221名の学生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。山梨大学の教職員・在学生一同、皆さんを心から歓迎致します。
       これまで皆さんを支えてこられましたご家族の皆様方に心からお祝い申し上げます。
       また、長崎幸太郎知事をはじめとするご来賓の皆様には、ご多忙の折、ご臨席を賜り厚くお礼申し上げます。
       間もなく平成の時代が幕を閉じ、5月からは新しい「令和」の時代がスタートします。新元号は万葉集の「初春令月、気淑風和」(しょしゅんの れいげつにして、きよく かぜ やわらぎ)からとられたとのことであり、<美しい日本>を想像させるすばらしい元号と考えます。今年はラグビーワールドカップ2019日本大会の開催、更に来年は2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催され、山梨県でも自転車競技が開催されるほか、多くの国のキャンプ地となるなど、大いに活気づくことが予想されます。このような新たな時代に本学に入学される皆さんが、本学での学びを有意義なものとし成長していかれることを期待しております。

       これから皆さんが学ばれる山梨大学は、2002年に旧山梨大学と旧山梨医科大学が統合して誕生したものです。旧山梨大学には、江戸時代1796年に幕府の学問所であった昌平校の分校として「徽典館」という名称で開講した歴史があります。その後、師範学校を経て、現在の教育学部となり、1949年に国立山梨高等工業学校をルーツとする工学部が加わり、旧山梨大学となりました。一方、旧山梨医科大学は、1978年に国が設立する最後の医科大学として開学しました。2002年の大学統合で山梨大学医学部となりました。その後本学は組織改革を継続的に行い、2012年には全国に先駆けて学部の改革再編を進め、生命・食・環境・経営などの諸問題に対処できる人材を育成する「理」・「文」融合型の「生命環境学部」を新設し4学部となりました。また、大学院においては、昨年の大学院博士課程の改組により、医学・工学・農学等が融合した農学系の「統合応用生命科学専攻」を開設、更に本年4月から、大学院教育学研究科の改組により、修士課程を廃止、教職大学院への一本化を図り、以前にもまして幅広く、より体系的で充実した教育・研究を行うことが出来るようになっております。

       本学のキャッチフレーズは「地域の中核、世界の人材」であります。その重要な使命の第一は、先端的な研究を推進することにより、世界の科学技術の発展に寄与することです。第二は、優れた教育による人材育成であります。地域の発展に寄与するだけでなく、世界を舞台に活躍できる人材を育てていきたいと考えています。
       この使命を果たすべく、本学では様々な分野で意欲的に研究活動を進めています。ナノテクノロジー研究の世界的拠点である燃料電池ナノ材料研究センターやクリーンエネルギー研究センター、先端的ライフサイエンス研究を推進している発生工学研究センター、我が国唯一の国立大学ワイン科学研究センターなど、特色ある研究で大きな成果を挙げています。また、医学系を中心とする融合研究臨床応用推進センターでは、神経科学、免疫学、腫瘍学の分野で最先端の研究を行っています。これらの優れた山梨大学の研究は2016年に「Nature」という世界No.1の科学ジャーナルに紹介されました。
       教育面では、医学部において、先端的教育システムとして「ライフサイエンスコース」という、一年生から高度な研究を開始できる研究医の養成システムを構築しています。このコースを受講した学生は、文部科学大臣賞ほか、数々の賞を受賞するなど高い評価を受けています。また、工学部では反転授業やアクティブラーニングをいち早く取り入れ、大きな成果をあげており、生命環境学部には「ワイン科学特別コース」、人気アニメ「ゆるキャン△」による地域おこしで活躍した「観光政策科学特別コース」といった全国的に見ても特色のある課程を設置しています。

       さらに、医学部附属病院は、県内唯一の特定機能病院として高度で安全な医療を実施し、より正確で難度の高い脳神経外科手術ができる天上吊り下げ型MRI装置、TAVIという高度な心臓手術が行えるハイブリッド手術室、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」など高機能の手術設備や、広くて清潔、居心地の良い患者さんのニーズに応えた新病棟が稼働しています。特に「ダヴィンチ」の手術件数は2013年の導入から300例を突破し、県内医療機関並びに多くの患者さんに貢献しています。医療安全対策、感染対策も万全であり、全国でも屈指の高度な医療を提供する病院であります。病院の経営改善に継続して取り組み成果をあげており、外部評価機関から極めて高い評価を受けています。
       昨年からは新病棟Ⅱ期工事が開始され、2020年10月の新々病棟の開院に向け、先進医療を含む高度医療をより一層推進していきます。

       さて、皆さんご承知のように、2015年秋、本学教育学部卒業生である大村智先生のノーベル賞受賞に日本中が沸きました。大村先生のイベルメクチンという寄生虫病の特効薬の発見・開発で、アフリカなどで流行していたオンコセルカ症に絶大な効果があり、副作用も極めて少なく耐性の出ない奇跡的な薬として数億人もの生命を救ってきました。さらに疥癬という診断、治療の困難であったダニによる皮膚感染症にも著しく効果があり、日本を含む世界中の患者さんのQOLを向上させてきました。日本人で3人目のノーベル医学・生理学賞を受賞されるという吉報、近年厳しい状況におかれている地方国立大学にとってこの上ない朗報であり、山梨大学にとって大いなる誇りと励みになりました。
       これを機に、大村先生には、本学では初めてとなる特別栄誉博士号をお贈りしたほか、先生の胸像を設置し、医学部キャンパスには、先生が発見されたイベルメクチンの分子化学構造を立体的に再現したモニュメント「Forever and ever」(=未来永劫)を設置しました。大村先生からは、ノーベル賞賞金の一部をご寄附いただき、これをもとに山梨大学大村智記念基金を創設し、加えて多くの方々からの浄財を得て、優秀な学生に対して給付型の奨学金を毎年授与しております。 
       そして昨年、基金を活用した念願の大村智記念学術館が甲府キャンパスに完成し、7月19日にオープニングセレモニーを挙行しました。私が司会を務め、大村先生と京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授とのビッグ対談が実現し、お二人から、「平らな道を行くよりも難しい道に挑戦すること」、「人の教えから謙虚に学ぶこと」、「本当に信頼できる友達をもつこと」など、若者にエールをいただきました。大変有意義で楽しい対談となり、本学のホームページからこの対談の内容が動画を含め全てご覧いただけるようになっております。是非ご覧になってください。
       大村智記念学術館が本学のシンボルとなることにより、永遠に大村博士を顕彰申し上げるとともに、学生の皆さんや地域の皆様に愛される建物として有効に活用されるよう願っております。来館者は3月4日には1万人を突破いたしました。大いなる誇りとなる財産をお預かりした私どもは、山梨大学の益々の発展のために、今後とも精一杯努力してまいる所存です。
       山梨県は、南方に世界文化遺産の富士山、北方に八ヶ岳、西方に南アルプス連峰を望む風光明媚な地であり、最新の厚生労働省の調査では、自立して日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」は、男性が全国第一位で女性は第三位に、また、移住希望地域調査でも毎年上位にランキングしています。近年中には、中部横断自動車道の山梨県~静岡県の全区間が開通し、物流・輸送の効率化、清水港や静岡空港からのインバウンド観光の周遊エリア拡大などが期待されています。更に、2027年にはリニア中央新幹線の東京~名古屋間が開通し、東京から甲府までは約25分とアクセスが向上し、経済や産業の発展、人材や文化の融合などによって、新たなイノベーションの創出、さらには地域の活性化が期待されています。

       皆さんは、このような素晴らしい環境の山梨県で学ぶことになります。生活環境が大きく変わり、不安もあるかと思いますが、快適に充実した学生生活を送れるよう、学生サポートセンターを中心に、様々な相談・支援体制を整えていますので、気軽に相談していただければと思います。

       現在政府は、今後到来する未来社会を、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、超スマート社会(Society5.0)と位置付け、テクノロジーを駆使し、サイバー空間すなわち仮想空間とフィジカル空間すなわち現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と、少子・高齢化や地方の衰退などの社会的課題の解決を両立することを目指しています。
       このような社会では、現時点では想像もつかない仕事に将来従事することも考えられ、現時点でのAIなどでは代替できないAIを超えた新たなアイディアや構想を生み出せる力が求められることとなってきます。また、人生100年時代となる一方で、急速な社会変化の中で、学んだ知識はどんどん陳腐化していくことから、絶えず新たな知識を学ぶことが必要になってきます。
       このように変化の激しい未来社会を生き抜くため、皆さんには本学での学びを通じて、専門知識はもちろんのこと、どのような社会になっても求められるであろう、国際的なコミュニケーション能力、課題解決力、論理的思考力、規範的判断力を身に着けることができるよう、努力してほしいと願っています。
       また、大村先生から頂戴したお言葉のひとつ、「一期一会」の精神で、目標も考え方も異なる他学部の学生とも積極的に交流を深め、心を開いて話り合える友人をたくさん作って欲しいと思います。更に、スポーツ・読書・旅行・芸術などにも興味をもって、教養を深め、人間としての豊かさを培って頂きたいと思います。

       今年も学部や大学院に世界9か国から64名の留学生を迎えました。
       留学生の皆さんのために、ここから少し英語でスピーチします。

       To all the international students here today: we would like to welcome you to Yamanashi. You have come from all over the world, including Brazil, China, Indonesia, Malaysia, Nepal, Republic of Korea, Peru, Thailand and Vietnam.
       It is our great pleasure to have you here. We sincerely hope that you will enjoy campus life here in beautiful Yamanashi.
       We will endeavour to do our very best to facilitate your educational needs, and help with your career development.
       We hope that your stay at our university will be a successful one.
       Thank you.

       結びになりますが、本日、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方、並びにご家族の皆様方には、入学生の皆さんを今後共あたたかく見守って頂きますように、また、本学へも引き続きご支援賜りますように、お願い申し上げます。
       本日、山梨大学に入学された1,221名の皆さんとそのご家族の皆様方に、今一度心からのお祝いを申し上げ、わたくしの式辞と致します。本日は、誠におめでとうございます。

  • 平成30年度卒業式式辞(2019年(平成31年)3月20日)

    •  本日、山梨大学の学部・専攻科・大学院の卒業式・修了式を迎えた1,191名の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。
       また、この晴れの日を心待ちにしてこられたご家族の皆様方には、教職員一同、心からお祝いを申し上げますとともに、これまでの本学への厚いご支援に対し、心より御礼申し上げます。
       ご来賓の皆様には、ご多忙の折、ご臨席を賜り誠に有難うございます。
       今日の佳き日を迎え、夢を抱いて入学されてからの学生生活は、あっという間に過ぎ去ったと感じている人が多いのではないかと思います。この間、皆さんは、日々学問の研鑚を通じ、幅広い教養とともに多くの知識や技術を修得し、様々な苦難を乗り越えながら、大きく成長されたことと思います。
       また、研究室、部活動やサークル活動などを通じて、尊敬する先生、先輩、同輩、後輩の皆さんなど、様々な人たちとの出会いがあり、かけがえのない友人を得て友情を育み、よき思い出をつくられたものと思います。これらを糧にして、それぞれの新たなステージに進んでいってほしいと思います。

       皆さんが在学中の山梨大学での大きな出来事としては、本学教育学部卒業生である大村智先生が2015年ノーベル医学・生理学賞を受賞されたことがあげられます。
       この快挙は、近年厳しい状況におかれている地方国立大学にとってこの上ない朗報であり、山梨大学にとって大いなる誇りと励みになりました。
       大村先生には、本学では初めてとなる特別栄誉博士号をお贈りしたほか、先生の胸像を設置し、医学部キャンパスには、先生が発見されたエバーメクチンの分子化学構造を立体的に再現したモニュメント「Forever and ever」(=未来永劫)を設置しました。大村先生からはノーベル賞賞金の一部をご寄附いただき、これをもとに山梨大学大村智記念基金を創設し、加えて多くの方々からの浄財を得て、優秀な学生に対して給付型の奨学金を毎年授与しております。
       そして昨年、基金を活用して建設した念願の大村智記念学術館が完成し、7月19日にオープニングセレモニーを挙行しました。私が司会を務め、大村先生と2012年のノーベル医学・生理学賞受賞者である、京都大学IPS細胞研究所長の山中伸弥教授とのビッグ対談が実現し、お二人からは、「平らな道を行くよりも難しい道に挑戦すること」、「人の教えから謙虚に学ぶこと」、「本当に信頼できる友達をもつこと」など、若者にエールをいただきました。本学のホームページからこの対談の内容が動画を含め全てご覧いただけるようになっており、ノーベル賞受賞者お二人の力強いメッセージを国内外に発信しているところです。
       大村智記念学術館が本学のシンボルとなることにより、永遠に大村博士を顕彰申し上げるとともに、学生・同窓生の皆さんや地域の皆様に愛される建物として有効に利活用されるよう願っております。来館者は3月4日すでに1万人を突破いたしました。大いなる誇りとなる財産をお預かりした私どもは、山梨大学の益々の発展のために、今後とも精一杯努力してまいる所存です。

       ノーベル賞に関しましては、昨年10月には、京都大学特別教授の本庶佑先生が、がん免疫療法の発展に貢献したとしてノーベル医学・生理学賞を受賞されました。本庶先生の研究成果を基に開発された、がん免疫治療薬「オプジーボ」は、当初皮膚のがんメラノーマに対する分子標的抗体薬として開発されました。私自身皮膚科専門医であり、さらに専門がメラノーマです。また、日本皮膚科学会理事長としてオプジーボの開発に立ち会ってまいりましたので感慨深いものがあります。その後さまざまな癌の治療に効果があることが分かり、今では他に治療の手立てのなかった世界中のがん患者さんの命を救っています。ここ10年間で4人目のノーベル医学・生理学賞の受賞は、日本の医学分野の研究開発レベルが世界トップクラスの水準にあることを示すものであり、大変誇らしく思います。ただこれが持続可能sustainableでなくてはなりません。山中先生、大村先生、大隅先生、本庶先生らに続く国際的に活躍し評価される研究者を育成することが大学の使命だと思っています。そのためにも政府は教育研究に対する緊縮政策を大転換し、国立大学を財政的に強力に支援しなくてはなりません。
       平成の30年間を振り返りますと、テクノロジーの急速な進化、人々の意識を変えた自然災害や事件、世界情勢の変化などがめまぐるしく起きる激動の時代でした。
       バブル経済で幕開けした平成は、アナログからデジタルへの変化の時代であったとも言えると思います。インターネットの世界規模での爆発的な普及をはじめとする情報通信技術の進化により社会環境は大きく変化し、私たちの生活を豊かにしてきました。皆さんの世代では、いまやスマートフォンは当たり前となり日々の生活になくてはならないものになっていると思いますが、このようなことは平成のはじめには想像もできなかったことです。
       その一方で、バブル崩壊とそれに続く長期デフレが進行し、日本経済の国際的地位が低下するとともに、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの震災による大きな被害が相次いで発生し、昨年も西日本豪雨、北海道胆振東部地震が発生するなど、数多くの自然災害が私たちを襲いました。現在でも復興への努力が続けられていますが、自然災害の多いこの国に住む私たちは宿命としてこれを受けとめ、後世にしっかりと伝えていくとともに、それを乗り越えるためにさらなる英知を結集しなければなりません。このことは皆さんにも託された大きな課題であります。

       さて、今年5月には平成の時代が幕を閉じ、新しい時代がスタートします。来年は2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催され、さらに2025年には大阪で2回目の万国博覧会の開催が決定するなど、新たな時代は活気に満ちた元気な社会になることが期待されます。
       ただ、現在の世界情勢は激動の真只中にあります。IoTやビッグデータ、AI、ロボットなどの新しいテクノロジーが引き起こす「第4次産業革命」によって世界経済が大きく変容し、米国ではGAFA、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルが世界経済を牽引し、中国ではBAT、バイドウ、アリババ、テンセントやファーウェイなど巨大企業が生まれ米国を脅かしています。残念ながら日本は蚊帳の外で周回以上の大変な遅れをとっています。北朝鮮の核開発を巡る2回目の米朝首脳会談決裂後の動き、さし迫る英国のEU離脱問題の行方、停滞する北方領土問題など、先行き不透明な状況が続くものと思われます。その一方で、いわゆるSDGs sustainable Development Goals(持続可能な開発のための目標)のもと、先進国と発展途上国が協調して地球規模での課題に取り組んでいくことも進められています。
       こうした世界が抱える課題にも目を向け、その急激な変化に対応して行かなければなりません。
       現在政府は、今後到来する未来社会を、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、超スマート社会(Society5.0)と位置付け、テクノロジーを駆使し、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と、少子・高齢化や地方の衰退などの社会的課題の解決を両立することを目指しています。
       このような社会では、現時点では想像もつかない仕事に将来従事することも考えられ、AIなどでは代替できない新たなアイディアや構想を生み出せる力が求められることとなってきます。また、人生100年時代となる一方で、急速な社会変化の中で、学んだ知識はどんどん陳腐化していくことから、絶えず新たな知識を学ぶことが必要になってきます。
       このように、皆さんを待ち受けている未来社会は必ずしもバラ色だけではなく、大変厳しいものであることも想像できますが、皆さんが本学における学びを通して身につけた課題解決力や、論理的思考力・規範的判断力を基盤として、今後も様々な形で学び続け、力強く社会の中で生きていってほしいと思います。

       どうか自分を信じ、勇気をもって自分なりの人生を紡ぐために漕ぎ出してください。個人としての幸せを追求することはもちろんですが、同時に、高等教育を受けた者として、社会をよりよくするという使命感をもって生きていただきたいと思います。われわれ山梨大学も、皆さんの母校、港としていつでも適切な支援と生涯学習の場をsustainableに提供できるよう、教職員一同力を合わせて進んでいきたいと思っています。

       ところで、今年も卒業生のなかに世界11か国から来られた49名の留学生がいます。言葉はもちろんのこと、文化や習慣など、様々な面で大きく異なる環境下で修学することは大変困難であったろうと思います。それを乗り越えて本日を迎えられた皆さんを称え、英語でメッセージを送ります。

       Among today’s graduates are 49 international students from 11 different countries.
       You have made it to this day after studying hard, and overcoming the difference of languages, lifestyle and food here in Japan.
       I congratulate you on your great efforts, and I wish you every success in your future endeavours.
       I hope that you will look back on time you had here in Yamanashi with fondness, and treasure the memories of the people you met and the things you learned at our university.
       Thank you.
      (訳)
       今年も卒業生の中に、世界各地の11カ国から入学した49名の留学生がいます。留学生の皆さんは、言葉や生活習慣、そして食べ物も異なる日本で学習し、本日の卒業式・修了式を迎えました。皆さんの努力に、心から敬意を表します。これからは、この美しい山梨の地で出会った多くの友、恩師や、本学で学んだ成果を大切にして、世界を舞台に活躍していただきたいと願っています。

       結びになりましたが、皆さんが自分の人生は自分がつくるという自覚を持って、地域のため、日本のため、そして世界のために活躍されることを心より祈念し、私の式辞といたします。本日は、誠におめでとうございます。

  • 平成31年年頭挨拶(2019年(平成31年)1月4日)

    •  明けましておめでとうございます。
       新しい年を迎えて、皆様それぞれ決意を新たにされていることと思います。
       今年は十干十二支によれば、己亥(つちのとい)の年です。〝己(つちのと)〟とは、植物が成長して整っていることを意味し、〝亥(い)〟は生命力が閉じ込められているさまを言うそうです。
       確かに世界情勢を眺めてみますと、米中貿易戦争で互いに関税を引き上げ合うなど、激化することが予想されます。トランプ米大統領は中間選挙を終え、下院は民主党に負けたものの、上院は過半数を死守、3年目に入り再選を目指して頑張らなければならないところです。ところが就任以来、次々と自分で任命したティラーソン国務長官やマクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官など政府高官を罷免し、昨年末にはジム・マティス国防長官まで更迭してしまいました。政府中枢はポンペイオ国務長官やボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官など対中強硬派で固められた感があります。あらゆる輸入品の関税を引き上げただけでなく、中国を代表する5G(第5世代移動通信システム)を先導するハイテク企業であるファーウェイ社やZTE社を排除し、またカナダでファーウェイCFOを逮捕するなど不穏な空気が漂っています。我が国もファーウェイの排除には追従せざるを得ませんでしたが、中国の報復も懸念されます。関税問題は飛び火してくるかもしれません。
       不穏といえば、韓国もレーダー照射、徴用工問題、従軍慰安婦など異様な反日政策をとっています。北朝鮮もミサイル開発を公然と続けていることが報道されており、これでは制裁を継続するしかありません。英国のEU離脱、ドイツやフランスをはじめとするヨーロッパ各国の右傾化や政府の不安定化、中東情勢なども不穏な空気の要因です。
       我が国もこのような不安定な国際情勢からくる影響を受けるのは必然ではありますが、安倍政権が比較的安定しているのが救いかもしれません。
       本年は、天皇陛下のご退位及び皇太子殿下のご即位が行われます。また、G20が日本で初めて大阪で開催され、スポーツ面ではラグビーワールドカップが開催されるなど、ビッグイベントが目白押しですが、これらを乗り切っていきたいものです。

       さて、本学では昨年、大村智先生のノーベル賞受賞記念寄附金が3億7千万円以上も集まり、7月19日に大村智記念学術館が完成し、大村智先生・山中伸弥先生のノーベル賞受賞者同士による対談が実現し、無事成功裏に行われました。司会を務めた私にとっては昨年一番の出来事でした。
       また、昨年末創設した海外留学生を支援する「甲府市ふるさと応援寄附金」も、初の試みにも関わらず、1千万円超も集まりました。皆様のご協力に感謝致します。
       大学院では「統合応用生命科学専攻」を新設し、教育学研究科を教職大学院に一本化・拡充することも決まりました。懸念であったエネルギー分野における「卓越大学院」も、早稲田大学主導ですが無事採択されました。医学部では創立40周年記念事業が盛大に行われ、附属病院では医師臨床研修マッチングにおいて史上初めてフルマッチし、特定共同指導も無事乗り切りました。さらに新病棟Ⅱ期棟にも着工しました。

       最も大切な本学への運営費交付金を含む本年度予算ですが、2年連続年越しで未だ本学へ明示されておりません。本年度は財務省主導でトータル1,000億円を機能強化として吸い上げられていますので、基盤経費は例年より不安定化しています。予算が前年末に決まらないのは極めて問題だと思います。私は以前から国立大学協会で、運営費交付金の件に関して「財務省と戦って引き上げるべき」と発言していますが、このところやっと会長でもある京都大学の山極総長が財務省と戦う姿勢を見せています。このまま実質上減少していけば、山中先生、大村先生、大隅先生、本庶先生のようなノーベル賞はもう望めなくなります。
       国立大学は常に政府から改革を求められています。大学統合を含めたガバナンス改革や人事給与マネジメント改革、入試改革などがその例です。本学においても大学連携について検討中です。また、退職金付年俸制も取り入れていかなければなりません。
       しかし、このガイドラインも昨年中に文部科学省から示されるはずでしたが、未だに明示されていません。問題山積ですが、皆さんと共に何とか解決していくつもりです。

       昨年、学長任期について新年度から2年間延長を決めていただきましたので、精一杯努力していく所存です。皆様のご協力、ご助言を宜しくお願い申し上げまして、新年のご挨拶と致します。

  • 日本皮膚科学会理事長 退任に際して(2018年(平成30年)6月)

    •  この度、2018年6月1日付けを持ちまして、3期6年務めました日本皮膚科学会(日皮会)理事長を無事退任致しました。山梨大学皮膚科教授の後任は、准教授であった川村龍吉先生に決まり、現在、皮膚免疫学、ウイルス学の専門家として活躍してくれています。
       私の学長の任期はあと3年ありますが、ひとつのけじめとして今般、9月1日理事長退任、教授退任の記念地方会を開催させて頂く運びとなりました。

       思い返してみますと、東京大学医学部を1977年に卒業後、皮膚科に入局して以来、実に多くの方々にお世話になり、今日まで無事務めて参りました。まずは心から御礼申し上げたいと思います。
       私は1952年4月8日京都で生まれ、京都の洛星中・高等学校の卒業です。進学校ではありますが、文武両道を奨励しており、中学1年生時に野球部に入部、中学3年生時には京都市中学野球大会にて3番センターで出場、準優勝しています。その後、洛星高校からは現役で初めて1971年に東京大学理科三類に入学、1977年に卒業しました。
       ただちに皮膚科に入局、助手としてスタートしました。1979年から1年間、関東中央病院で故西脇宗一先生から臨床皮膚科学の薫陶を受けました。1981年には医局長就任、故久木田淳教授が会長をされた、第18回国際皮膚科学会のときには医局長としてお手伝いしました。同年、図らずもメラノーマの研究で日本皮膚科学会皆見賞を受賞しました。メラノーマをなんとか治したい、それには免疫療法しかないと思い、東京大学免疫学教室(故多田富雄教授)に国内留学しました。ここで生涯の師、奥村康先生(順天堂大学アトピーセンター長)に出会いました。約1年後、1983年5月から米国NIHでSteve Katz博士に師事、4年間過ごしました。メラノーマの免疫療法はあきらめたわけではありませんでしたが、この治療は同じNCIの外科部門でSteve Rosenberg博士が研究されていました。いまや世界の腫瘍免疫学のリーダーであるRosenberg先生も当時はLAK治療しかなく、これは「サイエンス」ではないと免疫学者の間では批判にさらされていました。そこで私は皮膚の免疫を極めようと基礎の免疫学、すなわちLangerhans細胞と抗原提示、当時発見されようとしていたγδT細胞とT細胞レセプターの研究を行いました。

       1986年に山梨医科大学初代教授の故堀嘉昭教授にぜひにと請われて助教授として赴任しました。ところが、堀先生は1987年には九州大学へ転任されました。更に、1988年には東京大学から玉置邦彦教授が2代目教授として赴任されました。1991年には、東京大学助教授(分院皮膚科長)として東京大学に戻りました。1994年、玉置先生が山梨医科大学から東京大学教授に戻られることになり、1995年、その後に第3代教授として山梨医科大学に赴任しました。
       その後、20数年間、山梨に居住することになります。このNIH時代後半から山梨に落ち着くまでの10年間は、まさに臥薪嘗胆の時期で、色々な面で随分鍛えられたものと思います。

       1995年教授に就任したときは、月並みかもしれませんが、研究、臨床、教育で超一流を目指そうと考えました。特に研究に関しては「失われた10年」を取り返すべく戦略を練りました。臨床面では医師として当然のことですが、診療において絶対手を抜くことなく、学び続けるということ。これは医局員の専門医試験合格率100%に表れていると思います。まずは、≪人材≫ということで、東京大学から山田伸夫先生、京都大学から北嶋敏之先生に来て頂きましたが、種々の事情で早めに辞任されたのは残念でした。山梨という独特の環境下では困難なことも多かったものと拝察しています。そうこうするうちに2003年にはテキサス大学 高島明教授のもとで活躍していた松江弘之先生が赴任してくれることになりました。強力な助っ人を得たことで、これを転機に3本柱が完成しました。すなわち松江助教授、NIH留学組の柴垣直孝講師、川村龍吉講師との3本柱で研究体制が整いました。ちなみに松江先生は2006年千葉大学教授にご栄転されました。
       とにかく本学卒業生を育てたいとの強い思いから、先ず1期生の山田宏司先生(カナダアルバータ大学、神保孝先生)と塚本克彦先生(NIH,Vince Hearing先生)、3期生以降、齊藤敦先生(NIH, Mark Udey先生、玉置邦彦教授が送られました)、川村龍吉先生(順天堂大学 奥村康先生→NIH,Andy Blauvelt先生)、柴垣直孝先生(Emory大学 Wright Caughman先生→がん研 浜田先生→NIH,Mark Udey先生)、林暁先生(順天堂大学 奥村康先生→テキサス大学 高島明先生)、椙山秀昭先生(千葉大学 齊藤隆先生→Case Western Reserve大学 Kevin Cooper先生)、清水顕先生(がん研 宮園浩平先生(現東大)→ウプサラ大学 Arne Östman先生)、古橋正男先生(同上)、原田和俊先生(がん研 野田哲生先生→Stanford大学 Paul Khavari先生)、猪爪隆史先生(慶応大学 河上裕先生→NIH, Steve Rosenberg先生)、三井広先生(Rockefeller大学 Jim Krueger先生6年間!)、小川陽一先生(NIH, Mark Udey先生)、神﨑美玲先生(NIH,Vince Hearing先生)、青木類先生(Ludwig-Maximilian大学、Thomas Ruzicka先生)、岡本崇先生(Toledo大学、高島明先生)
       今、振り返ってみても多数の先生方が多彩なラボに留学しました。初期の頃は基本的には一流の基礎のラボに国内留学をしてから海外留学をしたので、それぞれの研究を発展させて戻ってきてくれました。初期の投資が成功したからか、3本柱がそろった2003年頃から、海外の一流誌に継続的に論文が掲載されるようになりました。特に川村グループの論文は、JI、 Blood、 JCI、 Cell Host and Microbe、JIDなど次々と発表されました。

       日本研究皮膚科学会は、私の最も力を入れた学会ですが、1998年には当時の北島康雄理事長(岐阜大学)に抜擢していただき初代学術委員長をつとめ、2002年事務局長、2005年理事長となりました。その最終年、2008年には第5回国際研究皮膚科学会(IID)会長となりました。私の故郷、京都で開催できたのは光栄でした。私の人生のなかでも最もepoch-makingなことでした。IIDでは1350演題が集まりアメリカ450題、ヨーロッパ450題、日本/アジア450題、参加人数もアメリカ650名、ヨーロッパ650名、日本/アジア650名とほぼ均等になりました。日本からのプレナリー演題も第3回IID(1998年ケルン)では34題中2題、第4回IID(2003年マイアミ)では4題だったのが、第5回IIDでは13題と飛躍的に伸びました。(ちなみにヨーロッパは5題!)山梨からも2題と日本の中では最多でした。このIIDの大成功は私のNIH留学時代から営々と築き上げてきたアメリカSID、ヨーロッパESDR人脈の力強いサポートのおかげだったと思います。この大成功のおかげでILDSからCertificate of Appreciation、ESDR、SID、American Dermatological Association、ドイツ皮膚科学会、台湾皮膚科学会などからHonorary Memberの称号を頂きました。身に余る光栄です!第8回になるIID開催(2023年)は韓国ソウルと日本東京の熾烈な争いになりましたが、昨年12月、日本(会長 椛島健治教授:事務局長 藤本学教授)に決まり、次世代に無事バトンを渡すことができたと喜んでいます。

       2012年から、これも図らずも日本皮膚科学会理事長となりました。日皮会では私はJournal of DermatologyのEditor in Chiefを2000年から2011年まで務め、2001年にはimpact factor(IF)をつけました。そのためにIFを評価するCurrent ContentsのChief EditorにPhiladelphiaまで面会に行ったり大変な努力はしました。しかし、それ以外は専門医試験委員を長年務めたぐらいで、それほど活躍の場はありませんでした。その私が理事になったと同時に理事長となったのは、JSID関係者の強いサポートがあったものと考えています。就任はサプライズではありましたが、結果的には3期6年間務め上げ、今般無事退任いたしました。

       1年未満で事務局長解任など色々ありましたが、理事、理事長の任期設定、女性理事創設など改革に取り組みました。ある意味ぎくしゃくしていたJSIDとの関係修復(現在JSID事務局は日皮会事務局と同じビル、同じフロアにあります)、IIDへの資金援助など行えるようにしました。ロドデノール問題にもいち早く委員会を立ち上げ、適切に対処しました。最近話題になっているAIの導入も、AIワーキンググループ(委員長 藤本学筑波大学教授)を作り、AMEDの大型研究費に無事採択されました。また、学会開催を運営会社に頼らず独自に運営できるように学会内に運営会社から優秀な事務局員を迎え、学会チームを立ち上げました。それにより、財政面でも透明性が増し、より収益が増し、日皮会の運営も黒字体質に転換できました。さらに、反対意見もありましたが臨床試験はすべて日皮会に報告するシステム(治験委員会)もつくりました。この二つの取組は極めて先駆的であり、日皮会が初めてであります。他学会も取り入れるべきだと考えています。

       国際的にはバンクーバーのWorld Congress of Dermatology(2015年)の際、ILDSの理事に椛島健治京大教授が決まりましたが、韓国、中国、シンガポールなど次々と手を挙げた中、これも長年にわたって築き上げてきた世界の皮膚科学会の人脈を駆使して日本の理事枠を死守しました。いくつもの国々のパーティーに家内とともに参加し、椛島先生を宣伝してまわってがんばりました。国際政治、外交もこのようなものかと良い経験になりました。

       理事長として一番力を注いだのは、日本専門医機構の改革です。この機構は学会軽視の思想で運営されていました。このままいくと専門医システムが崩壊するとの危機感から社員総会では積極的に発言しました。その中、最も重要な理事・理事長選挙が一昨年行われました。13科ある外科系学会から2名役員選考委員が選ばれるのですが、なんと最大会員を抱える機構派の外科や整形、産婦人科を押さえて、皮膚科理事長である私と脳神経外科学会 嘉山孝正理事長が選ばれました。各学会理事長も機構改革への強い意志を示されたものと考えます。日本医師会の先生方とも協力して22名の理事のうち、理事長、副理事長を含む18名を入れ替え、新理事長には学会重視派の吉村博邦先生を選出することができました。今の機構は運営は問題ないとはいえませんが、学会重視を宣言しており学会否定のコンセプトは打ち砕いたものと思います。あとは東京一極集中にいかに対処するかだと考えます。(週刊ダイヤモンド2018年5月19日号)

       山梨大学へ戻りますが、2009年からは病院長を拝命致しました。2008年IID成功で人生上、ひとつの区切りかと思っていましたが、学究肌の私がまさか病院長とは自分でも驚きました。2002年から感染対策委員長、2005年から安全管理担当の副病院長にはなっていましたので、さまざまなインシデントが発生するなか、これらの職を無難につとめてきたからかもしれません。

       病院長に就任した途端、セクハラ詐欺師の強制退院事件や代理ミュンヒハウゼン症事件が起こり、前途多難と覚悟しました。これらをGRMや事務の方々と無事乗り切ったのが自信につながりました。最も印象に残るのは、2011年3月11日、東日本大震災です。直後の停電、計画停電に翻弄されながら3月18日から5月13日まで南三陸町に22チーム、124名を送り続け、医療支援を成功させました。私自身も2回行きました。聞くところによると国立大学病院長自らが医療支援に出向いたことは、他病院ではなかったそうです。また、山梨大学病院事務職員の志気の高さには感服しました。被災地の皆さんから非常に高く評価されていました。

       また、看護部長をパワハラにて事実上解任、看護部が混乱の極みに達してしまったので、自ら看護部長を引き受け、副部長会、師長会を取り仕切り、全師長面接を行って看護部を立て直しました。また薬剤部も大量辞職があり、原因となったパワハラを放置していた薬剤部長を解任して薬剤部長になり、その後、適切な人事配置により薬剤部も再建しました。大学病院の病院長の中でも看護部長、薬剤部長、栄養管理部長を併任したのは私ぐらいだと自負しています。
       現在、中央官庁などでも問題になっているパワハラ/セクハラ/いじめ/のない一人一人が幸せに働ける職場を目指して頑張りました。

       現在、学長として3年目を終え、4年目に入っています。今回再選されましたので2021年まで任期があります。学長になって最も大きな出来事は、本学教育学部卒業の大村智先生が2015年ノーベル医学生理学賞を受賞されたことです。すぐに特別栄誉博士になって頂くとともに、図書館に胸像設置、医学部にはエーベルメクチンの分子構造模型を設置しました。大村智記念基金を募集して約3億7千万円集めました。大村先生もノーベル賞賞金の一部をご寄附下さいました。先生のご希望で優秀学生の奨学金にあてるとともに、大村智記念学術館を建造することにしました。7月19日には大村智―山中伸弥ノーベル賞学者対談が実現し、私が司会を務めさせて頂く予定です。

       国立大学では、運営費交付金(人件費+研究費)の毎年1%削減が行われ、すでに10%削減され、現在でも実質上、削減され続けています。山梨大学のような地方国立大学は最も影響を受け、現在、退職教員の不補充や人勧による人件費の上昇を凍結したりして対応しています。このままでは大学として教育・研究力がじり貧になってしまいますので、何とかこの誤った財務省/文科省方針を転換すべく努力していくつもりです。(日本経済新聞2017年4月3日)

       学長としてはまだまだ難問山積みですが、日皮会理事長退任という大きな節目でもありますので、理事長および山梨大学皮膚科教授の退任のご挨拶と致します。

       これまで支えて下さった皆様方に今一度心から感謝申し上げ、稿を閉じることにします。
       誠にありがとうございました!

  • 平成30年度入学式式辞(2018年(平成30年)4月6日)

    •  山梨大学の学部・大学院及び特別専攻科に入学された1,185名の学生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。山梨大学の教職員・在学生一同、皆さんを心から歓迎致します。
       これまで皆さんを支えてこられましたご両親をはじめ、ご家族の皆様方に心からお祝い申し上げます。
       また、ご来賓の皆様には、ご多忙の折、ご臨席を賜り厚くお礼申し上げます。

       これから入学生の皆さんが学ばれる山梨大学は、2002年に旧山梨大学と旧山梨医科大学が統合して誕生しました。旧山梨大学は、江戸時代1796年に幕府の学問所であった昌平校の分校として「徽典館」という名称で開講した歴史があります。その後、師範学校を経て、現在の教育学部となり、1949年に工学部が加わり、旧山梨大学となりました。
       旧山梨医科大学は、国が設立する最後の医科大学として開学しました。2002年の統合後、2004年 国立大学法人山梨大学となり、以来本学は組織改革を継続的に行い、2012年には全国に先駆けて学部の改革再編を進め、生命・食・環境・経営などの諸問題に対処することのできる人材を育成する「理」・「文」融合型の「生命環境学部」を新設しました。また、本年4月からは大学院組織の改編により、医学・工学・農学等が融合した「大学院医工農学総合教育部(博士課程)」が開設され、新たに農学系の「統合応用生命科学専攻」が設置されます。以前にもまして幅広く、より体系的で組織的な充実した教育・研究を行うことが出来るようになりました。

       本学のキャッチフレーズは「地域の中核、世界の人材」であります。その重要な使命の第一は、先端的な研究を推進することにより、世界の科学技術の発展に寄与することです。第二は、優れた教育による人材育成であります。地域の発展に寄与するだけでなく、世界を舞台に活躍できる人材を育てていきたいと考えています。
       この使命を果たすべく、本学では様々な分野で意欲的に研究を進めています。ナノテクノロジー研究の世界的拠点である燃料電池ナノ材料研究センターや、クリーンエネルギー研究センター、先端的ライフサイエンス研究を推進している発生工学研究センター、我が国唯一の国立大学ワイン科学研究センターなど、各々大きな成果を挙げています。また、医学系を中心として、融合研究臨床応用推進センターでは、神経科学、免疫学、腫瘍学の分野で最先端の研究を行っています。これらの優れた山梨大学の研究は一昨年7月に「Nature」という世界No.1の一流誌に紹介されました。
       更に医学部では、先端的教育システムとして「リエゾンアカデミー・ライフサイエンス特進コース」という一年生から高度な研究を開始できる研究医養成システムを構築しています。このコースを受講した学生は、文部科学大臣賞ほか、数々の賞を受賞するなど高い評価を受けています。工学部ではアクティブラーニング、テニュアトラック制度をいち早く取り入れ、教育研究面で大きな成果をあげています。

       また、医学部附属病院は、特定機能病院として高度で安全な医療を実施し、天上吊り下げ型MRI装置、TAVIという高度な心臓手術が行えるハイブリッド手術室、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」など高機能の手術設備や、広くて清潔、居心地の良い患者のニーズに応えた新病棟が稼働しています。医療安全対策、感染対策も万全であり、全国でも屈指の高度な医療を提供する病院であります。病院の経営改善に継続して取り組み成果をあげており、外部機関から極めて高い評価を受けています。昨年行われました、大変厳しい厚労省、県などによる共同指導でも称賛のお言葉を頂戴いたしました。昨年からは新病棟Ⅱ期工事が開始され、平成32年には新々病棟の開院に向け先進医療を含む高度医療をより一層推進して行きます。

       さて、皆さんご承知のように、2015年秋、本学、学芸学部、現教育学部卒業生である大村智先生のノーベル賞受賞に日本中が沸きました。大村先生が、イベルメクチンという寄生虫病の特効薬の発見で、日本人で3人目のノーベル医学・生理学賞を受賞されると云う吉報、近年厳しい環境におかれている地方国立大学にとってこの上ない朗報でありました。本学の教職員一同そして学生にとって大いなる誇りと励みになりました。
       これを機に、大村先生からノーベル賞の賞金の一部をご寄附いただき、これをもとに山梨大学大村智記念基金を創設し、優秀な入学生18名に対して給付型の奨学金を毎年授与しています。大村先生には、本学では初めてとなる特別栄誉博士号をお贈りしたほか、先生の胸像を附属図書館玄関ホールに設置、昨年10月には、医学部キャンパス内の臨床講義棟玄関ホールに先生が発見されたエバーメクチンの分子化学構造を立体的に再現したモニュメント「Forever and ever」(=未来永劫)を設置しました。是非ご覧ください。
       このエバーメクチンは、少し改良されイベルメクチンとなり、アフリカなどで流行していたオンコセルカ症に絶大な効果があり、副作用も少なく耐性の出ない奇跡的な薬として数億人もの生命を救ってきました。
      そして、現在は大村智記念基金の一大事業であり、念願の150人収容できる記念ホールや展示コーナーを設けた大村智記念学術館の建設を進め、来る7月19日にはオープニングセレモニーで、大村先生と京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授との対談が決定しており、私が司会を務めさせて頂くことになっています。オープンを楽しみにしてください。
       記念学術館が本学のシンボルとなって永遠に大村先生を顕彰申し上げるとともに、学生の皆さんや地域の皆様に愛される建物として有効に利活用されるよう願っております。
       大きな財産をお預かりした私どもは、山梨大学のますますの発展のために、今後とも精一杯努力して参る所存です。

       山梨県は風光明媚な地であり、厚生労働省の調査では、自立して日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」について、男性が全国第一位で女性は第三位に、また移住希望調査でも第二位に輝きました。皆さんは、このような素晴らしい環境の山梨県で4年ないし6年学ぶことになります。本年度から学生サポートセンターを設置し、快適に修学生活を送れるように様々な相談支援体制を整えています。
       これからの一年間は、甲府キャンパスで全学共通の科目を受講することになります。大村先生から頂戴した言葉のひとつ、「一期一会」の精神で、目標も考え方も異なる他学部の学生と積極的に交流を深め、心を開いて話り合える友人をたくさん作って欲しいと思います。更に、スポーツ・読書・旅行・芸術など、皆さんの進む専門分野によっては直接関係のない分野にも興味をもって、教養を深め、人間としての豊かさを培って頂きたいと思います。

       大学院や特別専攻科に入学した皆さんは、更に高度な専門知識と国際的なコミュニケーション能力を身に付けて下さい。国際的な視野に立ち創造的な研究を推進する優れた研究者、高度な専門職業人として、社会の中核を担う人材に成長して頂きたいと願っています。

       今年も学部や大学院に世界11の国と地域から33名の留学生を迎えました。
       留学生の皆さんのために、ここから少し英語でスピーチします。

       To all the international students here today: we would like to welcome you to Yamanashi. You have come from all over the world, including Bangladesh, China, Indonesia, Malaysia, Mongolia, Nepal, Sri Lanka, Vietnam and Taiwan.
       It is our great pleasure to have you here. We sincerely hope that you will enjoy campus life here in beautiful Yamanashi.
       We will endeavour to do our very best to facilitate your educational needs, and help with your career development.
       We hope that your stay at our university will be a successful one.
       Thank you.

       結びになりますが、本日、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方、並びにご家族の皆様方には、入学生の皆さんを今後共あたたかく見守って頂きますように、また、本学へも引き続きご支援賜りますように、お願い申し上げます。
       本日、山梨大学に入学された1,185名の皆さんとそのご家族の皆様方に、今一度心からのお祝いを申し上げ、わたくしの式辞と致します。

  • 平成29年度卒業式式辞(2018年(平成30年)3月23日)

    •  本日、山梨大学の学部・専攻科・大学院の卒業式・修了式を迎えた1,101名の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。
       また、この晴れの日を心待ちにしてこられたご両親をはじめ、ご家族の皆様方には、教職員一同心からお祝いを申し上げますとともに、これまでの厚いご支援に対し、心より御礼申し上げます。
       ご来賓の皆様には、ご多忙の折、ご臨席を賜り誠に有難うございます。
       今日の佳き日を迎え、夢を抱いて入学されてからの学生生活はあっという間に過ぎ去ったと感じている人が多いのではないかと思います。この間、皆さんは、日々学問の研鑚を通じ、幅広い教養とともに多くの知識や技術を修得され、様々な苦難を乗り越えながら、大きく成長されたものと思います。
       また、部活動やサークル活動を通じて尊敬する師や先生、先輩、同輩、後輩の皆さんなど様々な人たちとの出会いがあり、かけがえのない友人を得て友情を育み、よき思い出をつくられたものと思います。

       皆さんが在学中の山梨大学での大きな出来事としては、本学、学芸学部、現教育学部卒業生である大村智先生が2015年ノーベル医学・生理学賞を受賞されたことです。
      この快挙は、近年厳しい環境におかれている地方国立大学にとってこの上ない朗報であり、山梨大学にとって大いなる誇りと励みになりました。
       大村先生からノーベル賞の賞金の一部をご寄附いただき、これをもとに山梨大学大村智記念基金を創設し、優秀な入学生18名に対して給付型の奨学金を毎年授与して3年目となります。大村先生には、本学では初めてとなる特別栄誉博士号をお贈りしたほか、先生の胸像を附属図書館玄関ホールに設置、昨年10月には、医学部キャンパス内の臨床講義棟玄関ホールに先生が発見されたエバーメクチンの分子化学構造を立体的に再現したモニュメント「Forever and ever」(=未来永劫)を設置しました。
       このエバーメクチンは、少し改良されイベルメクチンとなり、アフリカなどで流行していたオンコセルカ症に絶大な効果があり、副作用も少なく耐性の出ない奇跡的な薬として数億人の人達の生命を救ってきました。現在は、大村智記念基金の一大事業である念願の大村智記念学術館の建設を進め、来る7月19日にはオープニングセレモニーで、大村先生と京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授との対談が決定しており、私が司会を務めさせて頂くことになっています。記念学術館が本学のシンボルとなって永遠に大村先生を顕彰申し上げるとともに、学生・同窓生の皆さんや地域の皆様に愛される建物として有効に利活用されるよう願っております。
       大きな財産をお預かりした私どもは、山梨大学のますますの発展のために、今後とも精一杯努力してまいる所存です。

       先のピョンチャンオリンピックで日本は、冬季五輪史上最多記録を更新する15個のメダルを獲得しました。なかでもフィギュアスケート男子金メダリストの羽生結弦さんは右足に重傷を負いながらも66年ぶりの五輪連覇を達成し、多くの国民に深い感動と勇気、明るい希望を与えてくれました。どんな困難な状況にあっても希望を失わず努力すれば必ず報われる、羽生さんはそのことを改めて鮮烈に私たちに示してくれたように思います。
      さらに、金メダルをとるために、たとえ失敗しても取り返すプログラムを何通りも自身で綿密に計算され、考えられていたようです。実際に失敗もあったそうですが、すぐにプログラム変更をして乗り越えられました。
       また、スピードスケートでも長野県相澤病院所属の小平奈緒さん、高木菜那さんの金メダル、パシュートの高木美帆、菜那姉妹や、佐藤綾乃さん、地元、富士急の菊池彩花さんの金メダルも感動的でした。銅メダルではありましたが、「そだねー」のカーリング女子は日本ならではの素晴らしいチームワークでした。
      更にスキージャンプの高梨沙羅さんも素晴らしい成果をあげられました。彼女がトレーニングを行っているスロベニアのリュブリャナ大学とは昨年大学間連携協定を結びましたが、スロベニアを訪問して印象的だったのは、高梨さんや団長の葛西紀明さんはスロベニアでは英雄であることでした。カナダで外国人コーチについて練習をする羽生さんや、オランダで練習し、フォームを変えて成功した小平さん、国外で活躍する葛西さんや高梨さんにしろ、やはり外国に出て行って自分を磨くことの重要性を示してくれているものと思います。皆さんも学ぶところが多かったのではないでしょうか?

       さて、現在の世界情勢を見渡してみますと、アメリカでは異形の大統領と言われるトランプ大統領の誕生により、TPP離脱、パリ協定からの離脱表明など、America firstの過激な政策が推進されています。ある意味トランプ大統領の過激政策のおかげでようやく北朝鮮問題が進展しようとしています。
       ただ、対話重視だったはずの外務大臣に相当するレックス・ティラーソン国務長官を解任し、韓国の文在寅大統領の仲介で、北朝鮮金正恩委員長と対話を進めようとしています。核・ミサイル開発の完全放棄、日本にとっては拉致被害者の帰国がMustの条件ですが、これを検証可能、不可逆的なものにする方策が求められています。何度も約束を反故にされているので、ここはしっかりとした核・ミサイル廃棄プログラムが必要です。また、わが国の安全保障上の観点から、独裁色を強める中国やロシアも脅威です。

        翻って日本をみますと、バブル崩壊以来失われた20年のデフレが2012年安倍晋三首相誕生、黒田東彦日銀総裁の超低金利政策を含むアベノミクスで景気が回復基調にあり、円安、株高となり、失業率が低下、雇用が増加し皆さんにとっては売り手市場です。
       ただ、1,000兆円の借金があり、国の財政状況が厳しいとの理由で文部科学省の予算が財務省により削られ、特に国立大学の教育、研究の根幹である運営費交付金が削減され続けています。国立大学全体で毎年1%削減が続いたので2004年から14年で、1兆1千億円から1兆円、山梨大学で100億から90億円となっています。その後も実質減り続けています。
       人件費削減のため、退職教員の不補充や人事院勧告の凍結などで、しのいでいますが、このままでは教育・研究力の低下は避けられません。山梨大学だけでなく、日本の科学研究力の低下は目を覆うばかりです。主な先進国で低下している国は日本だけです。
       Times Higher Educationという国際評価でも、東京大学は不動のアジアNo.1の順位から現在7位にまで順位を下げました。この財務省/文部科学省の国立大学予算削減の政策は本当に正しいものでしょうか?

       昨今の森友学園問題にみられますように財務省は必ずしも正しい政策を打ち出すとは限りません。厳しい財務状況というのも経済学者によっては誤りで、財政再建は既に終了しているという意見もあります。財務省という、官庁のなかでもトップ中のトップの人々が集まる役所でさえ、このような有様です。
       私も山梨大学学長としてこの緊縮政策の誤りを、国立大学協会や日本経済新聞などで一年あまり訴え続けています。本学は教職員のがんばりで何とか教育・研究力を維持していますが、今後は予断を許さない状況です。
       皆さんは、こうした内憂外患のなか、船出していくことになりますが、どうか自分を信じ、勇気をもって自分なりの人生を紡ぐために漕ぎ出してください。個人としての幸せを追及することはもちろんですが、同時に、高等教育を受けた者として、社会をよりよくするという使命感をもって生きていただきたいと思います。われわれ山梨大学も逆風の中、皆さんの母校、港としていつでも適切な支援と生涯学習の場を提供できるよう、教職員一同力を合わせて進んでいきたいと思っています。

       ところで、今年も卒業生のなかに世界7か国から来られた23名の留学生がいます。言葉はもちろんのこと、文化や習慣など、様々な面で大きく異なる環境下で修学することは大変困難であったろうと思います。それを乗り越えて本日を迎えられた皆さんを称え、ここから英語でスピーチします。

       Among today’s graduates are 23 international students from 7 different countries.
       You have made it to this day after studying hard, and overcoming the difference of languages, lifestyle and food here in Japan.
      I congratulate you on your great efforts, and I wish you every success in your future endeavours.
       I hope that you will look back on time you had here in Yamanashi with fondness, and treasure the memories of the people you met and the things you learned at our university.
       Thank you.

       最後に皆さんが自分の人生は自分がつくるという自覚を持って、地域のため、日本のため、そして世界のために活躍されることを心より祈念し、わたくしの式辞と致します。

  • 平成29年度入学式式辞(2017年(平成29年)4月6日)

    •  満開の桜が甲府盆地を美しく彩るこの佳き日に、山梨大学の学部・大学院及び特別専攻科に入学された1,204名の学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。山梨大学の教職員・在学生一同、皆さんを心から歓迎致します。また、ご列席頂きましたご家族の皆さま方に心からお祝い申し上げます。

       これから入学生の皆さんが学ぶことになる山梨大学は、2002年に旧山梨大学と旧山梨医科大学が統合して誕生しました。旧山梨大学は、江戸時代1796年に幕府の学問所であった昌平校の分校として「徽典館」という名称で開講した歴史があります。その後、師範学校を経て、現在の教育学部となり、1949年に工学部が加わり、旧山梨大学となりました。
       旧山梨医科大学は、国が設立する最後の医科大学として開学しました。2002年の統合後、2004年 国立大学法人山梨大学となり、以来本学は組織改革を継続的に行い、2012年には全国に先駆けて学部の改革再編を進め、生命・食・環境・経営などの諸問題に取り組み、解決する人材を育てる「理」・「文」融合型の「生命環境学部」を新設しました。また、昨年4月からは大学院組織の改編により、医学・工学・農学等が融合した「大学院医工農学総合教育部」が開設され、以前にもまして幅広く、より体系的で充実した教育研究を行うことが出来るようになりました。男女共同参画学長行動宣言を出し、理事、監事に女性を1名ずつ登用、さらに医学部臨床系で初めて女性教授も誕生しました。井上克枝先生は、全国ソロプチミスト女性研究者賞にも選ばれています。

       本学のキャッチフレーズは「地域の中核、世界の人材」であります。その重要な使命の第一は、先端的な研究を推進することにより、世界の科学技術の発展に寄与することです。第二は、すぐれた教育による人材育成であります。地域の発展に寄与するだけでなく、世界で活躍できる人材を育てていきたいと考えています。
       この使命を果たすべく、本学では様々な分野で意欲的に研究を進めています。ナノテクノロジー燃料電池研究の世界的拠点である燃料電池ナノ材料研究センターや、クリーンエネルギー研究センター、先端的ライフサイエンス研究を推進している発生工学研究センター、我が国唯一の国立大学ワイン科学研究センターなど、各々大きな成果を挙げています。また、医学系を中心として、融合研究臨床応用推進センターを創設し、神経科学、免疫学、腫瘍学の分野で最先端の研究を行っています。これらの優れた山梨大学の研究は「Nature」という世界No.1の超一流誌に紹介されました。更に医学部では、先端的教育システムとして「リエゾンアカデミー・ライフサイエンス特進コース」という一年生から高度な研究を開始できるシステムを構築しています。このコースを受講した学生は、文部科学大臣賞ほか、数々の賞を受賞するなど高い評価を受けています。工学部ではアクティブラーニング、テニュアトラック制度をいち早く取り入れ、教育研究面で大きな成果をあげています。

       また、医学部附属病院は、特定機能病院として高度で安全な医療を実施し、日本医療機能評価機構から極めて高い評価を受けています。
       一昨年6月には新病棟が完成し、昨年1月には天上吊り下げ型MRI装置、ハイブリッド手術室、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」など高機能の手術設備や、広くて清潔、居心地の良い患者のニーズに応えた病棟が稼働開始しています。医療安全対策、感染対策も万全であり、全国でも屈指の高度な医療を提供する病院であります。

       さて、一昨年秋、山梨大学に大変素晴らしい、嬉しいニュースが届きました。本学ご出身の大村智先生のノーベル賞受賞決定のお知らせでした。1958年、本学教育学部の前身である学芸学部を卒業された大村智先生が、イベルメクチンという寄生虫病の特効薬の発見で、日本人で3人目のノーベル医学・生理学賞を受賞されると云う吉報、現在、厳しい環境におかれている地方国立大学にとってこの上ない朗報でありました。教職員一同そして学生にとって大いなる誇りと励みになりました。
       このご受賞を機に、山梨大学として大村先生に敬意を表し、一昨年、10月『山梨大学特別栄誉博士』の称号を贈呈させて頂きました。また、ご受賞をきっかけとした本学の取り組みとして、大村先生に継ぐ次世代の若手研究者の育成を推進するとともに、末永く先生のご功績を顕彰するため、昨年度、山梨大学大村智記念基金を設立し、早速新入生18名に奨学金を給付いたしました。また、図書館にも石黒光二氏作の、先生の立派な胸像が設置してあります。外からもご覧いただけるよう、工夫しています。

       山梨県は風光明媚な地であり、移住希望調査では、全国第一位に輝きました。皆さんは、このような素晴らしい環境の山梨県で4年ないし6年学ぶことになります。
       これからの一年間は、甲府キャンパスで全学共通の科目を受講することになります。大村先生から頂戴した言葉のひとつ「一期一会」の精神で、目標も考え方も異なる他学部の学生と積極的に交流を深め、心を開いて語り合える友人をたくさん作って欲しいと思います。更に、スポーツ・読書・旅行・芸術など、皆さんの進む専門分野によっては直接関係のない分野にも興味をもって、教養を深め、人間としての豊かさを培って頂きたいと思います。
       大学院や特別専攻科に入学した皆さんは、更に高度な専門知識と国際的なコミュニケーション能力を身に付けて下さい。国際的な視野に立ち創造的な研究を推進する優れた研究者、高度な専門職業人として、社会の中核を担う人材に成長して頂きたいと願っています。

       今年も学部や大学院に世界10ヶ国から43名の留学生を迎えました。
       留学生の皆さんのために、ここから少し英語でスピーチします。

       To all the international students here today, we would like to welcome you to Yamanashi. You have come from all over the world, including Bangladesh, Brazil, China, India, Indonesia, Malaysia, Nepal, Pakistan, Republick of Korea and Vietnam.
       It is our great pleasure to have you here. We sincerely hope that you will enjoy campus life here in beautiful Yamanashi.
       We will endeavour to do our very best to facilitate your educational needs, and help with your career development.
       We hope that your stay at our university will be a successful one.
       Thank you.

       最後になりますが、本日、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方、地域の皆様方、またご家族の皆様方には、入学生の皆さんを今後共あたたかく見守って頂きますように、また、本学へも引き続きご支援賜りますように、お願い申し上げます。
       本日、山梨大学に入学された1,204名の皆さんとそのご家族の皆様方に、今一度心からのお祝いを申し上げ、式辞とさせて頂きます。

  • 平成28年度卒業式式辞(2017年(平成29年)3月23日)

    •  本日、山梨大学の学部・専攻科・大学院の卒業式・修了式を迎えた1,107名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
       また、この晴れの日を心待ちにしてこられたご両親をはじめ、ご家族の皆様方には、教職員一同心からお祝いを申し上げます。
       後藤知事をはじめとするご来賓の皆様、並びに地域の皆様方にはご多忙の折、ご臨席を賜り誠に有難うございます。

       今日の佳き日を迎え、夢を抱いて入学されてからの学生生活はあっという間に過ぎ去ったと感じている人が多いのではないかと思います。この間、皆さんは、日々学問の研鑚を通じ、多くの知識や論理力、実験のスキルや医療技術を修得、様々な苦難を乗り越えながら、大きく成長されたものと思います。また、部活動やサークル活動を通じて尊敬する師や先生、先輩、同輩、後輩など様々な出会いがあり、かけがえのない友人を得て友情を育み、様々なよき思い出をつくられたものと思います。
       皆さんが在学中、山梨大学での大きな出来事としては、本学、学芸学部、現教育学部卒業生である大村智先生が2015年ノーベル医学・生理学賞を受賞されたことです。あらゆる面で山梨大学は大いに沸きました。大村先生からノーベル賞の賞金の一部をご寄附いただき、これをもとに山梨大学大村智記念基金を創設し、優秀な入学生18名に対して給付型の奨学金の授与を行いました。先生に本学では初めてとなる特別栄誉博士号をお贈りしたり、先生の胸像を図書館玄関ホールに設置、外からでもご覧いただけるように配慮してあります。今後はご寄附いただいた記念基金をもとに大村記念ホールの建設を進めていきたいと考えています。

       さて、現在、世界情勢を眺めてみますと激動の真只中にあります。アメリカでは昨年11月泡沫候補といわれていたドナルド・トランプ氏が大統領に当選、世界を驚かせました。メキシコ国境の壁建設、TPPの離脱などかつてのアメリカでは考えられなかったような過激な保護主義政策がAmerica first,make America great againの標語のもと推進されています。アメリカ以外の国々にとっては不安視される政策ではありますが、アメリカ国内では意外なことに支持率も約半数あり、株価も最高値を更新しています。ヨーロッパでもBrexitという英国がEUを離脱する事態となり、やはり移民問題を契機にフランス、ドイツなどでは極右政党が躍進しており、本年の選挙結果が懸念されるところです。先週行われたオランダの選挙では、極右政党の躍進は一応止められ、世界は一安心しているところです。一方、アジアでは、中国のアジア海洋進出が懸念され、特に北朝鮮の核開発、ミサイル問題は身近に迫った我が国の危機となっています。

       我が国では安倍首相がトランプ大統領といち早く会談を行ったり、積極的平和主義を掲げ、諸外国と連携し、これらの危機に備えるとともにアベノミクスの成功により20年間デフレ状態にあった景気が緩やかに回復しつつあります。第1の矢である金融改革、第2の矢である財政政策に一定の成功は収めましたが、構造改革、イノベーションを含む第3の矢である成長戦略はまだまだ道半ばです。
       現在、世界では第4次産業革命が急速に進んでいます。これはいわゆる超スマート社会を目指したものでCAMBRICS、すなわちCは、クラウドコンピューティング、AはAI、Mはmobile、Bはbig data、Rはrobotics、IはInternet of Things、CSはciber securityです。この急激な進歩に関しては日本は残念ながら米国に比べて周回遅れ以上です。皆さんはこの混沌とした、しかも猛スピードで進んでいく世界の荒波のなかに船出していくことになります。どうか自分を信じ、勇気をもって自分なりの人生ストーリーを紡ぐために漕ぎ出してください。われわれ山梨大学は皆さんの母校、港としていつでも適切な支援と生涯学習の場を提供できるよう、教職員一同力を合わせて皆さんと進んでいきたいと思っています。

       ところで今年も卒業生のなかに世界各地の6か国から44名の留学生がいます。留学生の皆さんのためにここから英語でスピーチします。

       Among today’s graduates are 44 international students from 6 different countries.
       You have made it to this day after studying hard, and overcoming the differences in language, lifestyle and food here in Japan.
       I congratulate you on your great efforts, and I wish you every success in your future endeavours.
       I hope that you will look back on the time you had here in Yamanashi with fondness, and treasure the memories of the people you met and the things you learned at our university.
       Thank you.

       最後になりましたが、大村先生の「腹中有書」にも書き留められた言葉「幸運は高い志を好む」を皆さんに贈りたいと思います。高い志をもって努力し続ければ必ず幸運は向こうからやってくる、ということです。皆さんの健闘を祈り、わたくしの式辞と致します。

  • 平成29年年頭挨拶(2017年(平成29年)1月4日)

    •  新年あけましておめでとうございます。  皆様におかれては、お健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。 十干十二支(じっかんじゅうにし)によれば、今年は「丁酉(ひのととり)」の年です。十干は草木の成長に例えられ、丁(ひのと)は草木の形が充実した伸び盛りの状態で、十二支の酉(とり)は、草木の果実が成熟しきった状態を表していると言われています。本学もそのように成長したいと思っておりますが、実は前途多難です。

       一方で酉年は、革命の年とも言われています。2017年、世界情勢は混沌としており、危機的な状況となる可能性は大いにあります。先ず、アメリカですが、昨年11月、アメリカ大統領選挙が行われ、ドナルド・トランプ氏が次期大統領に選出されたニュースが世界中を驚かせました。”Make America great again”というメッセージとともにアメリカ第一主義を掲げるトランプ氏の動向は最も注視しなければなりません。
       1月20日、トランプ氏の大統領就任式は、イスラム、ヒスパニック、女性などに対する差別発言を行った大統領に対する大規模デモが予想され、多難な船出となります。クリミア半島侵攻やアレッポを制圧したシリア政府軍の後ろ盾となった拡張主義をめざすロシア、またEU離脱を決めた内向きのイギリス、フランスでは春に大統領選挙をひかえ、極右政党のルペン党首の選出が危惧されています。秋には、ドイツの総選挙ですが大量の難民を容認したメルケル首相が4選されるかは予断を許しません。アジアにおいては中国による南シナ海への海洋進出、軍事施設の建設や沖縄諸島への空母の航行、尖閣諸島の領有権を巡る問題など、大国の様々な動きの中、日本の安倍首相はオバマ大統領(真珠湾)をはじめ、トランプ次期大統領、プーチン大統領、習近平主席などと積極的な外交を展開しており、一定の成果はあげています。   

       また、ミャンマー、フィリピン、ウクライナなど新興国に対する1兆円以上の手厚い財政的支援を行っています。あたかも富裕な国家の如くです。しかしながら、我々にとって最大の問題は、国立大学に対して、財務省が文科省を通じて厳しい目を注ぎ、1000兆円の財政赤字を理由にすでに10年間10%削減を行い、これが主たる原因で、すべての国立大学では財政的環境好転の見通しが立ちません。今年度及び次年度はわれわれの努力で運営費交付金の1%削減を止めることができたものの、この大変厳しい状況は本学も当然例外ではなく、特に人件費増大を中心とする来年度予算は約2億円の赤字となります。この困難な状況について、これまでに各学域に出向きご説明をし、ご不明な点に対しては一つずつ真摯にご回答し、ご相談をしながら打開の道を探っているところであります。
       各学域からは一様に「この厳しい状況はいつまで続くのか」と問われるのですが、国の施策が不透明な中にあり、明るい返答ができずにいることを心苦しくも感じております。言うまでもなく大学の使命の第一は研究、教育であります。加えて、地域への貢献も求められており、昨年はCOC事業及びCOC+事業に積極的に取り組むとともに、男女共同参画の加速を一層促進するため、理事及び監事に女性を登用、大村智先生のノーベル賞受賞を機に胸像の設置や、大村智記念基金奨学金授与なども行いました。Nature誌に本学の記事が掲載されましたことは特筆すべきかと思います。

       アメリカ第35代大統領 故ジョン・F・ケネディ氏が1961年に行った就任演説の中に、「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country(国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うて欲しい。)」という名言がありますように、今、私はこれを「Ask not what your university can do for you, ask what you can do for your university」と言い換え、何とかこの難局を皆さんお一人おひとりの力をお借りし、ご理解を得ながら全学一丸となって乗り切り、将来を見据えた大学運営に努めて参りたいと思っております。

       この新しい年がより充実した年になるよう心より祈念いたしまして、私からの年頭の挨拶とさせていただきます。
       本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

  • 平成28年度入学式式辞(2016年(平成28年)4月6日)

    •  本日、山梨大学の学部・大学院及び特別専攻科に入学された1,216名の学生の皆さん、ご入学おめでとうございます。山梨大学の教職員・在学生一同、皆さんを心から歓迎致します。また、ご臨席頂きましたご家族の皆さま方に心からお祝い申し上げます。

       これから入学生の皆さんが学ぶことになる山梨大学は、2002年に旧山梨大学と旧山梨医科大学が統合して誕生しました。旧山梨大学は、江戸時代1795年に幕府の学問所であった昌平校の分校として「徽典館」という名称で開講した歴史があります。その後、師範学校を経て、現在の教育学部となり、1949年に工学部が加わり、旧山梨大学となりました。
       旧山梨医科大学は、国が設立する最後の医科大学として開学しました。2002年の統合後、2004年国立大学法人山梨大学となり、以来本学は組織改革を継続的に行い、2012年には全国に先駆けて学部の改革再編を進め、「生命環境学部」を新設しました。また、本年4月からは大学院組織の改編により、医学・工学・農学等が融合した「大学院医工農学総合教育部」が開設され、以前にもまして幅広く、より体系的で充実した教育研究を行うことが出来るようになりました。

       本学の重要な使命の第一は、先端的な研究を推進することにより、世界の科学技術の発展に寄与することです。第二はすぐれた教育による人材育成であります。地域の発展に寄与するだけでなく、世界で活躍できる人材を育てていきたいと考えています。
       この使命を果たすべく、本学では様々な分野で意欲的に研究を進めています。ナノテクノロジー研究の世界的拠点を目指している燃料電池ナノ材料研究センターや、先端的ライフサイエンス研究を推進している発生工学研究センター、我が国唯一の国立大学ワイン科学研究センターなど、各々大きな成果を挙げています。また、医学系を中心として、融合研究臨床応用推進センターを創設し、神経科学、免疫学、腫瘍学の分野で最先端の研究を行っています。更に医学部では、先端的教育システムとして「リエゾンアカデミー・ライフサイエンス特進コース」という1年生から高度な研究を開始できるシステムを構築しています。このコースを受講した学生は、文部科学大臣賞他、数々の賞を受賞するなど高い評価を受けています。
       また、医学部附属病院は、特定機能病院として高度で安全な医療を実施し、日本医療機能評価機構から極めて高い評価を受けています。昨年6月には新病棟が完成し、今年1月には高機能の手術設備や患者のニーズに応えた病棟が稼働開始しています。

       昨年秋、山梨大学に大変素晴らしい、嬉しいニュースが届きました。
       本学ご出身の大村智先生のノーベル賞受賞決定のお知らせでした。1958年、本学教育学部の前身である学芸学部を卒業された大村智先生が、イベルメクチンという寄生虫病の特効薬の発見で、日本人で3人目のノーベル医学・生理学賞を受賞されると云う吉報、現在、厳しい環境におかれている地方国立大学にとってこの上ない朗報でありました。教職員一同そして学生にとって大いなる誇りと励みになりました。
       このご受賞を機に、山梨大学として大村先生に敬意を表し、昨年10月『山梨大学特別栄誉博士』の称号を贈呈させて頂きました。私も大村先生と何度か対談させて頂く中で、たくさんの力強い言葉を頂戴しました。是非、皆さんにもお伝えしておきたいと考えています。「一期一会」、「至誠惻怛」、「恕」と云う言葉であります。
       「一期一会」は人と人との出会いを大切にすること、「至誠惻怛」は誠心誠意、相手のことを考えながら思いやりをもって取り組むこと。又、「恕」は思いやり、寛容の精神であります。これらの言葉とは別に「人と違うことをやれ」ということも、よくおっしゃいます。人と違うことをすれば失敗も多いが、失敗を恐れずチャレンジしてほしいということです。また、ご受賞をきっかけとした本学の取り組みとして、大村先生に継ぐ次世代の若手研究者の育成を推進するとともに、末永く先生のご功績を顕彰するため、今年度から新たに山梨大学大村智記念基金を設立し、新入生15名に奨学金を給付いたします。

       さて、教育に関しましては、本学はアクティブラーニング等、創造性を磨くことの出来る学習環境と多彩なカリキュラムを用意し、皆さんの教育に情熱を持って取り組んで参ります。
       本日入学した皆さんは、学部にとらわれず、これからの一年間、甲府キャンパスで全学共通の科目を受講することになります。目標も考え方も異なる他学部の学生と積極的に交流を深め、心を開いて話り合える友人をたくさん作って欲しいと思います。更に、スポーツ・読書・旅行・芸術など、皆さんの進む専門分野によっては直接関係のない分野にも興味をもって、教養を深め、人間としての豊かさを培って頂きたいと思います。
       大学院や特別専攻科に入学した皆さんは、更に高度な専門知識と国際的なコミュニケーション能力を身に付けて下さい。国際的な視野に立ち創造的な研究を推進する優れた研究者、高度な専門職業人として、社会の中核を担う人材に成長して頂きたいと願っています。

       今年も学部や大学院に世界11ヶ国から41名の留学生を迎えました。
       留学生の皆さんのために、ここから少し英語でスピーチします。

       To all the foreign students here today, we would like to welcome all of you who have come from all over the world includingChina, Egypt, Republic of Guatemala, Indonesia, Republic of Kenya, Malaysia, Nepal, Republic of Korea, Sri Lanka, Thailand and Viet Nam.
       It is our great pleasure to have you here.
       We sincerely hope that you will enjoy campus life here in beautiful Yamanashi.
       We will do our very best to help with your career development.
       We wish your stay in our university will be a successful one.
       Thank you.

       最後になりますが、本日、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様方、地域の皆様方、またご家族の皆様方には、入学生の皆さんを今後共あたたかく見守って頂きますように、また、本学へも引き続きご支援賜りますように、お願い申し上げます。
       本日、山梨大学に入学された1,216名の皆さんとそのご家族の皆様方に、今一度心からのお祝いを申し上げ、式辞とさせて頂きます。

  • 山梨大学医学部附属病院南三陸町医療救護班派遣「完結」に寄せて
    (2011年(平成23年)5月)※当時附属病院長

    •  この度、3月18日に第1班派遣で開始した、宮城県南三陸町医療支援チーム派遣を5月13日第19班(2回の病院長班、理事班を含めると22班)をもって無事終了することができました。山梨県をはじめ、このプロジェクトを支えてくださったすべての方々に感謝したいと思います。

       思い起こせば3月17日、山梨県から救急部松田兼一教授へ宮城県の被災地医療支援の依頼がありました。地震・津波による未曾有の甚大なる被災地の状況をみて、我々も何らかの支援をしたいと考えていた矢先でしたので、すぐに派遣を決めました。救急部の松田教授、森口武史講師が非常に積極的でしたので、その日の内にチームを編成し、翌18日午前10時に出発することができました。宮城県庁に到着すると我々の行き先は南三陸町とのことでした。もっとも被害の甚大であった地域を支援することになり、森口講師をはじめチームの士気が上がったと聞いています。森口講師は南三陸町の医療統括責任者である西澤匤史医師に対して災害医療診療についていろいろとアドバイスを行ったそうです。西澤医師は一般内科医なので災害医療には経験がなく、このアドバイスが極めて適切でその後の医療体制構築に有益であったと述懐されていました。

       派遣中の第1班メンバー鈴木正彦副薬剤部長から、途切れ途切れの連絡(当時は携帯電話も通じませんでした)があり、薬剤不足が深刻で、さらに薬剤整理が全くなされていないとの報告がありました。このことは第2班、花輪剛久准教授に引き継がれ、不足薬剤を補充し整理棚なども持ち込んで医療統括本部の薬局の立ち上げに成功しました。

       また同時にPCを含めた事務機能の必要性が伝達され、早速PC、プリンターを用意して齊藤敦係長、細田浩司係長の両事務員が派遣されました。彼らのすばらしい働きにより西澤医師は本部の事務機能は山梨大学事務員に任せることに決めたそうです。事務関係は第3班植村健係長、松下雄一郎主任、第4班の高山俊雄補佐、塩島正弘係長へと引き継がれ、確固としたものになり、以後、災害本部の事務は山梨大学事務員が担いました。西澤医師も折にふれ、本学事務員の大活躍に感謝されていました。

       また第4班からは医療班の拠点が歌津地区に決定し、支援の終了まで歌津中学校で奈良県医師会チームとともに歌津地域の診療を担当しました。医師、ナース、コ・メディカルのチームはそれぞれの専門を生かして多大な貢献をしました。

       歌津中学校の両区長さん、及川保健師さんも私が病院長班として訪問したときに目に涙を浮かべて感謝して下さいました。避難所ではノロなどの感染症の発生も、金丸明美副看護師長、三枝栄江副看護師長、古屋塩美看護師長・GRMをはじめとする看護師の活躍により、他地区では流行した折にも最小限に抑えられました。

       これらの貢献が評価され、本部のたっての要請を受け、当初4月末・第14班までの支援終了予定を、5月13日・第19班まで支援を延長することとなりました。

       本部の南三陸町医療を自立させたいとの意向もあり、5月からは撤収を視野に入れての医療支援となりましたが、今般無事に終了することができました。

       特筆すべきは、天皇皇后両陛下が歌津中学校の避難所をご訪問された折、第14班の近藤尚己講師と新谷典生調理師が天皇陛下からお言葉をいただいたことでしょう。この場面がテレビ報道され、山梨大学のゼッケンを見て感動された方々も多いと思います。

       私自身も4月9日から10日まで、5月以降の医療支援継続決定をすべく、又、第5班リーダーの杉山剛助教から報告のあったイスラエルチーム(すべての主要診療科を備えた50名からなる海外からの最大医療支援チーム)と災害対策本部との摩擦を心配し、現地に赴きました。イスラエルチームのオフィル コーエン・マロム大佐(医師団長)、シャロム ベンアリエ准将(総指令官)をはじめ、多数の医師、スタッフの方々と握手して回り、日本支援の感謝の気持ちを伝えられたことは、対イスラエル外交に少しでも貢献できたものと確信しています。わが国も各国の善意を仇で返すようなシステムは即刻変更すべきと考えます。現在、南三陸町が曲がりなりにも自立して、仮設診療所を中心に医療を始められるのもイスラエルチームが残してくれた医療機器・検査機器等がベースになっているのです。

       また、今回、5月13日に撤収班として、佐藤仁町長、西澤医師に再会し、“言葉にあらわせないほどの感謝”をいただいたこと、さらに歌津地区の及川区長さん、歌津中学校の阿部校長先生、及川保健師たちからも心のこもった御礼の言葉を頂戴したことで、われわれの支援が“本物”であったと実感することができました。ことに歌津中学校避難所で区長さんからの急な要請でハンドマイクを持ってご挨拶したところ、大変心のこもった大きな拍手を避難所の方々全員からいただいたことは一生忘れられない思い出となりました。撤収班としてともに参加した松田教授、岩下直美副看護部長、白沢一男医学部事務部長、山田徹病院経営企画室長、佐藤康樹GL、松下主任にはこの貴重な体験をシェアできましたことに感謝致します。

       この南三陸町医療支援を大成功裡に終えられたのは派遣チームに参加された方々、また参加されなくても、大学にあって支援してくださった方々ともども本院の目標である“病院全体がひとつのチーム”として機能した賜物であり、改めて皆様に感謝申し上げます。

       最後に被災地の皆様に一日も早い復旧、復興の日が訪れますことをお祈りし、この稿をとじたいと思います。