博士課程1年の井上絵梨さんが日本ブドウ・ワイン学会大会で「大会発表賞」、卒業生の市川茉利枝さんらが「論文賞」各受賞の快挙

2015年11月13日 トピックス

 平成27年11月7日(土)、日本ブドウ・ワイン学会2015年大会(ASEV Japan)が上越教育大学(新潟県上越市)で開催され、本学大学院博士課程1年の井上絵梨さん(指導教員:奥田徹教授)が「大会発表賞(口頭発表部門)」を、同博士課程修了生の市川茉利枝さん(山梨県立甲府昭和高等学校教諭)及びワイン科学研究センターの奥田徹センター長の論文が「論文賞」を連名で受賞し、快挙を成し遂げました。

 大会発表賞を受賞した井上絵梨さんの発表題名は、「赤ワイン醸造におけるポリフェノールの抽出挙動」で、赤ワインに含まれるポリフェノール類は、高い抗酸化活性を持ち、健康効果に期待が集まっていますが、本研究は主要なポリフェノールであるタンニンやアントシアニンの抽出の仕組みを研究したもので、高品質な赤ワイン製造につながると注目されています。

DSC04915_2-320x240

大会発表賞を受賞した井上絵梨さん

 井上さんは、受賞の喜びを「このような賞を頂き光栄に思います。今後は、赤ワインにおけるポリフェノールについて、さらなる研究成果を上げられるよう、また日本のワイン産業に貢献できるよう、研究に精進致します。また、ご指導頂きました奥田教授を始め、研究室の皆様に心から感謝申し上げます」と話しています。

 また、論文賞を受賞した市川茉利枝さん及び奥田徹センター長の受賞タイトルは、「マスカット・ベーリーAのプロアントシアニジンに関する研究」で、評価対象となった下記3報の英文論文において、日本を代表する赤ワインであるマスカット・ベーリーA種ワインのタンニンの抽出挙動が、他の品種と大きく異なることを示し、その機構や、醸造的な対処法などを報告しています。マスカット・ベーリーAは今後、日本ワインとして海外進出をする上で重要な品種と考えられており、その品種特性を明らかにしたことが高く評価されました。

【評価対象論文】

・Marie ICHIKAWA, Keiko ONO, Masashi HISAMOTO, Toshihide MATSUDO, and Tohru OKUDA: Concentrations of BSA–Binding Proanthocyanidins in Red Wines Produced in Japan. FSTR 17, 335-339, 2011

・Marie ICHIKAWA, Keiko ONO, Masashi HISAMOTO, Toshihide MATSUDO, and Tohru OKUDA: Effect of Cap Management Technique on the Concentration of Proanthocyanidins in Muscat Bailey A Wine. FSTR 18, 201-207, 2012

・Tohru OKUDA, Seiji FURUYA, Eri Inoue, Yukinori CHIKADA, Marie ICHIKAWA, Fumie SAITO, and Masashi HISAMOTO: Extraction of Proanthocyanindins during Fermentation of Muscat Bailey A and Cabernet Sauvignon Wines. JAJ, 25, 90-96, 2014

DSC04938_2-320x224

論文賞を受賞した市川茉利枝さん(右)
奥田徹センター長(左)

 指導教員の奥田徹センター長は「本研究は平成21年から続けており、今回の受賞は多くの学生たちの努力の結晶です。市川さんは本学でこの研究に従事した後、現在高校で教鞭を執っていますので、ぜひ高校生にも研究の楽しさを伝えて欲しいと思います。また、井上さんは市川さんの研究をさらに発展させ、新たな重要な発見をしています。これらの研究が日本ワインの品質向上に少しでも役に立てば良いと思います」と話しています。