【学長対談1】NHK甲府放送局長 飯野奈津子氏
平成27年9月30日(水)
飯野奈津子氏
(NHK甲府放送局長)
平成27年9月30日(水)、NHK甲府放送局長 飯野奈津子氏をお招きし、島田眞路学長、岩﨑 甫副学長、風間ふたば学長補佐・男女共同参画推進室長と座談会を開きました。
当日は「男女共同参画の加速のための山梨大学学長行動宣言」を発表する直前ということもあり、話題は男女共同参画社会への展望や課題などに集中しました。
島田眞路学長(以下、島田学長)
今日は、よろしくお願いいたします。
飯野奈津子氏(以下、飯野氏)
よろしくお願いいたします。
私は山梨に来て1年になりますが、まだまだ男性優位だなと感じていますので、本日の「男女共同参画の加速のための山梨大学学長行動宣言」、とても期待しています。
風間ふたば学長補佐・男女共同参画推進室長(以下、風間室長)
アメリカやヨーロッパは、女性研究者比率が高いとよく言われます。実際に、イギリスは37.8%、アメリカは33.6%といった数字が出てきているんですが、日本は14.6%とまだまだ低いですね。ただ、欧米でも科学雑誌『ネイチャー』が女性研究者の特集をしたくらいで、まだまだな部分もあるようです。女性研究者はすごく頑張っていますが、それでも研究費がなかなか取れないとか、学会の長にはなれないとかあるみたいです。
島田学長
すごく優秀な方には女性も多い。私の専門の皮膚科や免疫学分野でも、アグレッシブなのは女性ですし、そういう人はどんどん出世していく。そう思ってます。ジェンダーの差っていうのは、ディスカッションなどの時には全然表れないんです。本当に対等にディスカッションしてます。要するに企業でも学会でも能力があれば、そういうポジションにつくべきと思っています。女性でも能力ある人はいっぱいいますよ。
岩﨑 甫副学長(以下、岩﨑副学長)
私は企業での勤務経験があるのですが、入社の採用面接を担当していた時でも、女性の方が優秀な人が多かったですね。
飯野氏
私も採用の面接官をしていますが、確かに優秀な女性が大変多いです。
島田学長
そうなんですよ。医学部でも実はそうなんです。NHKは女性アナウンサーなど色々な方が活躍されていますが。
飯野氏
NHKでも、管理職はまだ数が少ないです。私は子育てして管理職になりましたが、他にあまりいないんですよ。ほんの一握りです。子どもがいなくて、男性と同じ様に働きます、っていう人は上がっていけるチャンスはあるんですけれども。
島田学長
飯野局長は初の女性記者ってことですが、これはどういう意味なんですか。
飯野氏
アナウンサーと違って、報道の記者は現場に行かないといけないんです。例えば災害があったら、そこで24時間働かなければならないというのがあります。男女雇用機会均等法施行前の当時は、女性は深夜労働ができなかったんですよね。だから、女性の記者は採用しないとNHKも言っていたんです。それが、男女雇用機会均等法の国会審議が始まって、NHKでも女性記者を取るかもしれないというのを聞いて、お願いしますと言ったら、たまたま入社できたという訳です。だから、まだ数が少ないんです。今、全国で記者が1,000人くらいいて、女性は200人~300人くらいなので、まだ3割くらいですね。
就職の話で言いますと、山梨県の大卒女性たちの就職先を見たところ、県内での就職は、県庁か、銀行か、学校の先生が多いですし、結婚に伴って退社するという人数も多いです。だから管理職の数はまだ少ないんです。男女問わず色んな方の意識改革が必要ですよね。
だから、今日の「男女参画の加速のための山梨大学学長行動宣言」は期待しているんです。学長が宣言してくれるなんて、心強いじゃないですか、やっぱり。
島田学長
本当もったいないですよ。男性も女性も持てる能力で頑張ってもらってほしいですよね。人口は減少していますし。地方消滅の話も出ていますが、女性の活躍を大切にしないといけないっていう話なんですよね。
飯野氏
女性は家庭に入るのが当たり前って意識が山梨にはまだありますね。
島田学長
そうかなあ。医療関係で働いているとそうでもないですけどね。医学部附属病院の看護師長さんは、意識高く働いています。だけど、やっぱりご家庭でのサポートがすごい。つまり、結婚してもおじいさんやおばあさんと同居していて、例えば、旦那さんの方のご両親たちが子どもの面倒をみてくれるので、それで仕事を続けられるんです。3人くらい産んで、仕事をしている師長さんがいっぱいいますし、女医さんもそうですよ。周囲のサポートがあると結構続いていくんですよ。夫婦2人だけっていうとなかなか厳しいのですが。
飯野氏
そうすると、山梨は逆に仕事を続けやすい地域なんですね。三世代同居とかある訳だから。東京なんかよりもずっと子育てしやすい地域であるということですね。
島田学長
周囲のサポートがしっかりしていれば、仕事を続けやすいんだと思います。飯野局長は、今までどこで勤務されてきましたか。
飯野氏
地域的には、初任地は福岡で、そのあと東京です。
島田学長
他の地方に行っていたら、地方の感じが山梨と同様なのか、それとも違うのかということをお聞きしたかったんですけれども。東京はちょっと特殊ですよね。
飯野氏
地域によって、対応が違うところはあります。
島田学長
やはり、そうですよね。地方によって意識の差もあったり、様々だと思います。山梨が飯野局長がおっしゃった状況であるなら、変えていかないといけない部分もありますね。
本学も、環境を整えて男性でも女性でも能力を発揮できるようにしていこうと、それで、今日の学長行動宣言を行うんですよ。女性役員や管理職の、研究者の 比率を高めることによって、男女共同参画を進める予定です。もちろん、女子学生や卒業生の支援も行いますよ。男女共同参画社会基本法って法律があります が、もちろん法律も大事なんですが、大学教職員全体の意識啓発を行うことも必要だと思っています。