原本英司 国際流域環境研究センター教授が文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞

2024年4月23日 トピックス

 令和6年4月17日(水)、原本英司 国際流域環境研究センター教授が令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞し、文部科学省において表彰式が行われました。
 本賞は、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った研究者を対象としたもので、今年は59名(51件)が受賞しました。
 受賞対象となった研究名は、「下水疫学調査による感染症流行監視システム構築に関する研究」です。

 原本教授は、下水処理場の流入水中の新型コロナウイルスを測定することで、地域における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況を捉える「下水疫学調査」に関する研究に取り組み、その有効性を提唱する世界初の総説論文を発表し、下水からのウイルス検出技術や感染者数予測モデル等を開発しました。
 本研究により、国内初となる下水中の新型コロナウイルスの検出に成功するとともに、臨床検査体制が不十分なアジア途上国でも下水疫学調査が有効となることを示しました。また、新型コロナウイルスに加え、インフルエンザウイルスやノロウイルス等の複数の病原微生物を対象とした一斉検出法の開発等、ウィズコロナ時代に下水疫学調査を活用していくための技術基盤を構築しました。
 本研究の成果は、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現の迅速・効率的な検知を可能とするのみならず、将来出現し得る新たな病原微生物による感染症に対するレジリエンスの向上に寄与することが期待されます。

 受賞した原本教授は、「今回の受賞業績であります『下水疫学』は、私が学生時代より継続的に取り組んできた研究テーマの一つですが、COVID-19パンデミック下で改めて社会的にも注目・期待を集め、研究成果の社会実装という大きなやりがいを感じながら研究を進めてきました。今後も世界レベルの成果を挙げて社会に貢献できるよう、引き続き研究を推進していく所存です。」とコメントしています。