令和2年の年頭にあたり島田眞路学長が挨拶

2020年1月6日 トピックス

 令和2年1月6日(月)、甲府キャンパスにおいて(医学部キャンパス同時中継)、年頭にあたり、島田眞路学長が役員・教職員を前に挨拶しました。
 挨拶の中で島田学長は、「庚子(かのえね)」にあたる今年は「植物が新たな形に変化する状態」「成長に向かい種子が膨らみはじめる様」であるとし、令和元年中にあった「一般社団法人大学アライアンスやまなし」の設立や民間資金獲得増加のための環境整備をはじめ教育・研究面、社会連携・地域貢献、医学部附属病院など、各方面の事業等を振り返り、さらなる発展を目指そうと呼びかけました。
 また、国立大学が抱える諸問題について、「皆さん一人ひとりの力をお借りし、全学一丸となって乗り切り将来を見据えた大学運営に努めたい」と決意を語りました。

挨拶全文

 皆様あけましておめでとうございます。
 健やかに新しい年を迎えてそれぞれ決意を新たにされていることと思います。
 昨年5月、新天皇陛下がご即位されて令和の時代が始まりました。昨年の印象的な出来事は数々ありますが、吉野彰先生がノーベル化学賞に輝かれたこと、ラグビーワールドカップで格上のアイルランド、スコットランドなどに勝利してベスト8入りを果たしたことがあげられます。私も大いに感動いたしました。
 今年は十干十二支によれば庚子(かのえね)の年です。庚(かのえ)とは植物が成長して新たに変化することを意味し、子(ねずみ)は増えるという意味で成長に向かって種子が膨らみ始める様をいうそうです。再び新しい十二支のサイクルがスタートする令和2年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。日本にとって大きな節目となり、本学も様々な面で成長、発展していかなければなりません。
 恒例の世界情勢分析ですが、昨年、年頭挨拶で指摘しました通り、世界情勢は混沌としています。米中貿易戦争に関しては、すさまじい関税の掛け合いがありました。
 トランプ大統領は本年の再選を目指しているためか、現在は一時休戦中のようですが、問題が解決したわけではありませんので、先行きは不透明と言わざるを得ません。中国の急速な台頭に対するアメリカの危機意識は相当なものです。5Gで先行するファーウェイなどは最も許せない企業というわけですが、ここまで対策を放置したアメリカの反応はやや遅すぎた感があります。日本も対策を誤ると大変なことになりそうです。
 ただ、中国も長期化してしまった香港デモや、1月11日の蔡英文現総統が優勢といわれる台湾総統選挙などが情勢に影響を及ぼしかねません。
 アメリカにとっては、東アジア情勢だけでなく、中東情勢も緊迫しています。正月早々のイラン司令官の殺害はイランの激しい怒りを買い、一触即発の情勢です。各地でのテロ勃発など懸念されるところです。
 北朝鮮は12月末の4日間、金正恩委員長主催の異例の党中央委員会総会を開催、アメリカを強くけん制しています。韓国はGSOMIAの破棄は延期しましたが、予断は許されない状況です。
 翻って日本をみますと、昨年暮、日産ゴーン元会長の不法出国がありました。厳重であるはずの監視体制を突破したということですが、日本の甘い監視体制は今後テロリストなどの出入国にも影響を与えかねません。安全保障体制の根幹にかかわる重大問題だと思います。新聞報道によると、経済安全保障戦略をNSC国家安全保障会議が年内に取りまとめることになったり、航空自衛隊が航空宇宙自衛隊となったり、安全保障体制はアップグレードされるそうですが、諸外国に比べ、AI、IOT、5G、Cyber Securityなど全てが周回遅れと言わざるを得ません。
 さて、山梨大学に話を戻しますが、まず、去年暮のgood newsとして、国の予算案にワイン科学研究センターの施設設備と人員配置が認められました。また、医学部では高機能病理解剖システムも認められました。
 さて、昨年一番大きな出来事は、一般社団法人【大学アライアンスやまなし】の設立です。昨年5月に山梨県 長崎幸太郎知事、山梨県立大学 清水一彦学長、私とで連携協定を結び、半年あまりの準備期間を経て、昨年、12月18日設立しました。国立大学法人と県立大学との新法人は全国初の取組です。企画課が中心となり取りまとめてくれました。私が代表で清水学長が副代表、理事は本学から早川理事と袖山理事が入ります。また、専務理事は白沢相談役が務めます。授業科目の共同開設や合同講義の開講、教養科目の充実、大学院特別教育プログラムの共同運営など学生の修学環境の充実を図ってまいります。本年は、この法人が文部科学省の認可する【大学等連携推進法人】にならなければなりません。それで初めての教員のダブルカウントなど規制緩和につながっていくからです。全力を尽くしたいと思います。中央教育審議会でもこの取り組みは注目され、昨年11月の大学分科会にてプレゼンしてきましたが、評価は上々だったようです。国立大学協会のメンバーからも色々と教えてほしいとの問い合わせが多々ありますが、なかなか他県ではうまくいかないようです。
 二番目は内閣府令和元年度国立大学イノベーション創出環境強化事業の採択です。はじめはダメ元のつもりで応募しましたが、研究推進・社会連携機構などの多大な努力もあり、私自ら必死でのプレゼンで臨んだところ、なんと地方55総合大学で唯一、山梨大学だけが採択されました。イノベーション創出強化本部を設置するなど、頑張ってはいますが、この3月までにさらに実績を上げて、新年度の継続採択に向けて努力していきますので、皆様のご協力をぜひお願いいたします。
 三番目は事業決定プロセス改革です。施設・環境部、医学域事務部管理課など施設整備や物品調達など事業決定プロセスにおいて価格の大幅な低廉化が可能であった事実が明らかとなりました。これに対応して、学内研修会を複数回開催したり、10月1日には市場調査チームを立ち上げました。職員一人ひとりが徹底したコスト意識をもち、従来の慣習にとらわれないで交渉にあたらなければ改善しません。これもぜひご協力をよろしくお願いします。
 四番目には附属病院です。本年は附属病院の病棟Ⅱ期工事が完成する予定です。中央診療棟の再整備は喫緊の課題であり、この工事はコストの肥大化など様々な問題を抱えています。少なくとも30年から40年は持続可能な素晴らしい中央診療棟を目指してベストソリューションを出していかなければなりません。
 まだまだほかにも難問山積ですが、皆様一人ひとりのお力をお借りし、ご理解を得ながら全学一丸、ワンチームとなってこの難局を乗り切り、将来を見据えた大学運営に努めて参りたいと考えております。皆様の一層のご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 この新しい年がより充実した有意義な年になるよう心より祈念いたしまして、私からの年頭の挨拶とさせていただきます。ご清聴どうもありがとうございました。

令和2年1月6日
国立大学法人 山梨大学
学長 島田 眞路